藤沢周平の「男たちの生き様」 [essay;11.21.wed.]
毎週木曜日、NHKで木曜時代劇「風の果て~なお、足るを知らず」(8回シリーズ;今日まで5回)を上映中です。
※CD(音楽)も、発売されています。
主役は、桑山又左衛門(佐藤浩市;主演)ですが、スタートは5人の武士が登場します。
若き頃の、回想シーンもあります。
その武家の禄高と、長男(家督・跡取り)ではないことから、二男・三男の武士としての生き様を描いていきます。
舞台は、藤沢周平がよく設定する、東北山形の小藩です。
下級武士の男の生き抜くさまと、そこにからむ女の愛と駆け引きが、藤沢周平流に、絶妙に描写されていきます。
最初は、5人の主役的な登場のため、また回顧場面(若き頃)のため、物語の骨格と人物を理解するのに戸惑いますが、分かってくるとすごく面白い。
※武士の身分、家族愛、命がけの斬り合い、女性との愛・・・、男の生き方・生き様です。
このドラマの脚本家 竹山洋さんによる言葉が、この物語と「武士たちの生き様の本質」を言い得ています。
『あえて言うと、人間の骨の奥にある、誠心――という言葉かもしれない。誠のようなもの、信義のような、大きな愛のようなもの、そのことを書いてみようと必死にやった』
『風の果て~なお、足るを知らず。足るを知れば、こんなに苦労をすることはなかったろう。しかし、この作品の間、私は幸福だった。作家として初めてのことだった。プロデューサーと監督に深く感謝した。そのことも初めてのことだった』と、脚本を書いて言わしめさせるに足る、テレビドラマなのです。
テレビドラマとはいえ、「武士の・男の、ぎりぎりの生き様」が、うまく描かれていると感銘を受けながら視聴しています。
※「風の果て」藤沢周平 著の原作が、文庫本(文春文庫;上・下)で販売されています。
071121wed.